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はぜっ子倶楽部について

はぜっ子倶楽部の始まりは2000年4月。
エチオピアの深刻な環境破壊に胸を痛め、緑化と水資源開発を行う事業をスタートさせていた新妻香織が(1998年フー太郎の森基金創設)、福島県の環境審議会で県内の水質調査の結果を初めて目にし、驚愕しました。というのも、松川浦に流れ込む小泉川が県のワースト4に記され、海域のワースト1〜3すべてが相馬港周辺が占めていたのです。「これはエチオピアどころではない!」「足元が危うい!」と呼び掛け、小畑強子、長澤芙美子の3人で、松川浦の環境保護団体はぜっ子倶楽部を立ち上げました。

はぜっ子倶楽部は「世界的視野で考え、足元から実践する」会にしようと、毎月1回の活動を発足当時から続けています。その活動は「学習」「実践」「課外授業」の3つに分類、まずは知り(学習)、言っているだけでは何も変わらないので実際に行動し(実践)、そして楽しみながら市民に広げていこう(課外授業)と考えています。その活動守備は松川浦の700haの海域にとどまらず、流れ込む川、源流の森、周辺の人々の暮らし、あるいはガイドブックの制作(「まるごと松川浦」・松川浦ガイドブック編集室・2008年)にまで及んでいます。

 設立:2000年4月
 会員数(H22年3月末日現在):個人55と団体1の計56
 代表者:新妻香織、事務局長:寺島勝正、会計:宗 初子、会計補佐:荒 佑
 監査:吉田真一、杉本田鶴子
 水質調査班長:高木和紀子、水質調査班長補佐:渡邉澄江
 植物班長:渡辺文雄、植物班長補佐:三瓶保之
 清掃班長:斉藤紀子

 【これまでの主な活動内容】
学習活動講義、講演会、実習、観察
水・関連定期的な水質調査、県の水質調査の講義、廃油での石鹸作りの実習、谷津干潟再生の講義、松川浦の水質資源の講義、EM菌による水浄化
森・関連植林・下草刈り実習、どんぐりからの育苗(里親)、相双の森づくりの講義、松くい虫の講義
自然観察手倉山の分水嶺を訪ねて・片栗の群生地を訪ねて、鷺の大コロニー観察、紅葉狩りとバンガロー泊、クリスマス・リース作り、松川十二景バスツアー参加(他団体共催)、観光相馬のお話、巨木ウォッチング
ごみ清掃川・浦・海岸、橋周辺、山のごみ拾い、生ごみ堆肥化の講演、ごみ減量化推進会議への参加
お楽しみどんぐり拾いと芋煮会、川の生物観察、蟹の観察、鮭のふ化場見学、忘年会、松川浦マラソン大会参加と会場に出店してのPR、桑折町ホタル保存会講師によるお話、ホタルマップの作成、ホタル観察
その他宮城NPOセンター講師による学習、市行政を市長に聞く、相馬市市民環境セミナーへの参加
震災後の松川浦
「自然の宝庫、松川浦へようこそ!」そういって豊かな干潟や季節ごとに出会える昆虫などをご案内するのが、私たちはぜっ子倶楽部のメンバーの誇りでした。2011年3月12日、長年の活動が実を結び、松川浦がラムサール条約の潜在候補地に選ばれ、翌年にルーマニアで開催されるラムサール条約COP11を目指して、その日はぜっ子倶楽部は松川浦に関係する方々とシンポジウムを開催する予定でした。

ところがその前日の11日14時46分に起きた東日本大震災の大地震と津波で、この生きものたちの楽園は壊滅してしまいました。大洲海岸の砂州が決壊、松林はすべて流出、相馬市の沿岸部は壊滅的な打撃を受けました。そして皮肉にも、そのシンポジウムの会場がまさに私たち家族の避難所になっていました。

4月、松川浦に関わる専門家らの皆さんに呼び掛け、震災以後初めての調査を行いました。松川浦大橋を渡り、鵜ノ尾トンネルを抜けた時、私たちは言葉を失いました。あの生きものの楽園鵜ノ尾の干潟が根こそぎ破壊されていたのです。散々周囲を歩いてもどこにも生きものの気配はなく、それはまるで別の宇宙に来たみたいで、私たちは呆然と立ち尽くしました。

しかし生きものたちはこのような撹乱を何度と経験しながら、地球上に生態系を作ってきたのでしょう。3年以上経った今、松川浦の干潟では数こそまだ少ないですが、今ではその種類はほぼ震災前まで戻っていることが専門家の調査で分かっています。また植物は種が方々に拡散し、人の入らなくなった土地で絶滅危惧種がいくつも繁茂しています。中にはウミミドリのように70年代に消滅してしまった植物まで、津波で種が地表に出てきたか、発見されました。また鳥類の専門家によると、シギ・チドリの種類が増え、コクガンまでが松川浦周辺に南下しているのが毎年確認されています。ただ、松川浦のシンボルだったヒヌマイトトンボだけは、毎年の調査にも関わらず、まだ再会がかないません。

松川浦は今、復旧工事の真っ只中ですが、はぜっ子倶楽部は水質調査を継続し、観察会も再開しました。あの楽園が戻ってくるまでには長い年月がかかるかもしれませんが、生きものたちが生存競争を繰り返しながら、新たな生態系を築いていく姿を見守っていきたいと思います。





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